ヴァカンスのお供はコレ! 嶋田智之のルノー・カジャー試乗記

嶋田智之
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2018/04/24 17:35

SUV激戦区に現れた
エレガントなレディ

 世界的に大流行、並大抵のモデルがデビューしてもそれほどの新鮮味が感じられなくなりつつある感のSUVの世界。そんな中、新たに上陸したカジャー(KADJAR)には、ちょっとばかり「おっ?」と思わされた。いかにも! な感じのスタイリングが多いほかのSUV達とは雰囲気が異なって、大胆な曲線と曲面がうねる、微かに官能の匂いすら感じられるエモーショナルな姿態を見せていたからだ。先に日本に来ている妹分のキャプチャーも美形ではあるけれど、あちらはもっとボーイッシュな爽やかさと若々しさを感じさせるルックス。同じ家系にあって同じエレガンスを躾けられているというのに、姉の方は大人っぽい品格を身につけて女性らしい色香を漂わせている、というような感じだ。

 ルノー・カジャーの美点は、まずはその柔らかなルックスにあるといえるだろう。激戦区といえるCセグメントのSUVの中で、その独特なフォルムはかなり印象的だ。3サイズは全長4455mm、全幅1835mm、全高1610mm。妹分のキャプチャーよりひとまわり大きいが、といって扱いに困るほどでもない。その内側の空間も、エクステリア同様に泥臭さとは縁のない雰囲気だ。助手席のセンターコンソール脇にアシストグリップがあることを除けば、上質なサルーンであるかのようにも思える。ダッシュボード周りはシンプルで機能的、けれど少しも四角四面じゃない柔らかな印象。シートは前後ともにたっぷりしたサイズで、座り心地も上々。フロントシートからの視界は良好だし、リアシートも膝周りのゆとりが大きいから、全体的にサルーンより居心地はいいかも知れない。

 面白いのはラゲッジルームで、かなりフレキシブルな使い方ができる工夫がなされている。床面がボードによって上下に仕切られていて、もちろん下側にも収納できるのだが、その床面のボードは前後2枚に分かれていて、それぞれの高さを変えたり垂直に立てたりと、アレンジが可能なのだ。例えば前側は上下2段で後ろ側は底の深い1段、その中間にボードを立てて前後を仕切る、といった使い方もできる。ちなみにリアシートは6:4の分割可倒式で、ラゲッジルームの両サイドにあるハンドルでそれぞれを倒すことができ、通常は527リッター、リアシートを倒すと1478リッターという容量なのだが、そのシートのアレンジとボードのアレンジで、かなり多彩な積み込み方ができるのだ。まさしくヴァカンスの国フランスで生まれたクルマ。家族や仲間同士でフル乗車して、街を出て旅を楽しんで街に戻る、という使い方に見事にマッチしている。

 そう考えるとスッキリと腑に落ちることがある。カジャーのプラットフォームはルノー日産アライアンスによって生み出されたキャシュカイやエクストレイルと基本を同じくするもので、当然ながら本国には4WDモデルもラインナップされている。が、メインストリームはあくまでもFWDモデル。日本仕様もFWDのみで、砂地や凹凸地で有効な走行モード切り替えシステムも持たされていない。日々の暮らしや休暇の旅ではタフな路面に遭遇する機会は確かに少ないから、そこは割り切って、使いやすさと快適さを重視したクロスオーバーSUVを目指したということなのだろう。

 

フォト&ムービー:宮門秀行 H.Miyakado

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